HISがハウステンボスを売却!IR候補地としてどうなる?

HISがハウステンボスを売却!IR候補地としてどうなる?

大手旅行会社で知られる株式会社エイチ・アイ・エス(HIS)が保有する長崎県佐世保市にあるテーマパーク「ハウステンボス」を売却する方針を決定しました。また、ハウステンボスの隣接地がIR誘致の候補に挙がっています。では、今後IR候補地としてどうなるのでしょうか?

売却理由は…?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大に伴う非常事態宣言の発令により、国内外からの観光客が激減。2020年9月期のハウステンボスの売上高は前期の半分以下となり、約34億円の赤字営業になりました。その後は、少しずつ入場者数を増やし、2022年3月には黒字転換しています。しかしながら、親会社のHISがコロナ禍から立ち直れず、2022年4月に過去最悪となる約269億円の赤字を計上したのを受けて、資金調達のためハウステンボスの売却を決めたようです。

とはいえ、売却先となる香港の投資会社PAGは日本で25年以上の投資実績があり、2013年にはテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」を運営するユー・エス・ジェイに出資しており、今後の成長ポテンシャルは極めて大きいものだと見込んでいます。

IR誘致の候補地としてどうなる?

長崎県は、IR区域全体の整備方針や事業運営能力、ギャンブル依存症対策などを審査し、「カジノ・オーストリア・インターナショナル」を運営事業予定者として正式決定しました。カジノオーストリアインターナショナルは欧州を中心に世界35カ国で215のカジノを運営した実績があり、これからもたらす経済効果に期待が寄せられています。

そして、IRの事業計画では、オランダの街並みを忠実に再現したハウステンボスを活かし、敷地の一部約31ヘクタールにカジノ、メッセ、メディカルヴィラ、ホテル、パーク、ミュージアム、マーケット(商店街)、スタジアム、ハーバーなど9つの区域を再開発するそうです。建設投資額は最大4600億円を見込んでおり、アジアの富裕層を主なターゲットとし、年間集客人数は延べ690万〜930万人と想定しています。

佐世保市長は今回の売却に「IRへの影響はない」とコメントしていました。

IRとは?

IRとはカジノを含むホテルや劇場、映画館などの娯楽施設やアミューズメントパーク、ショッピングモールなどの観光施設、商業施設などが一体となった「統合型リゾート」です。

2016年12月に成立した「カジノ法案」により、 長らくカジノを違法としてきた日本でカジノが解禁されるということで動向が注目されています。また、IR誘致の候補地として長崎県のほかに大阪府が有力候補に挙がっています。

カジノ法案とは

カジノ法案こと統合型リゾート(IR)整備推進法案はカジノを含む複合施設の建設・運営を可能にする法律です。つまり、マカオ カジノのようなカジノそのものの「ランドカジノ」を対象とした法律ではありません。また、カジノ事業は免許制であり、その免許はカジノ管理委員会が発行するようになっています。

この法案により、観光客の増加による日本経済の活性化が期待されています。

最後に

平成のカリスマ経営者と呼ばれる稲森和夫と同じ「心の経営」で、18年連続で赤字であったハウステンボスをたった一年で黒字化させたHISの澤田社長。今回の売却ニュースは少し残念なものではありますが、今後はIR誘致としてさらなる発展が見込まれており、長崎県の新たなシンボルとなるでしょう!